下痢や嘔吐など、消化器系のトラブルはよくあるお困りごとのひとつ。
なかでも下痢・軟便は犬に多いトラブルですが、動物病院ではよく【ディアバスター】というお薬が処方されます。
ディアバスターはとても安全性が高い薬で、正しく使用すれば命にかかわる副作用などはまずありません。
今回は、そんなディアバスターの概要や期待できる効果、気になる疑問について分かりやすく解説します!
よくお腹を壊しがちなコへの具体的な対策も紹介するので、「動物病院への受診頻度を減らしたい」「おなかの調子がいい状態をキープしたい」ときは、ぜひチェックしてみてくださいね。
ディアバスターとは?
ディアバスターは、共立製薬株式会社が販売する犬猫用の下痢止めです。
大きさは直径8ミリ程度、半分や4分の1にカットしやすいよう割線が入っていて、はさみや手で簡単に割ることができます。
投与の目的は、腹痛や下痢の改善。フードに混ぜたり、直接飲ませたりすることで効果を発揮します。
ディアバスターの有効成分
ディアバスターには、下痢や軟便症状を緩和する5種類の有効成分が入っています。
- タンニン酸ベルベリン(25mg):腸の粘膜を保護し、炎症を抑える
- 次硝酸ビスマス(100mg):最近の増殖を抑制し、消化管の保護膜を形成
- ゲンノショウコ乾燥エキス(0.4mg):整腸作用が期待できる、天然由来の成分
- 五倍子未(5mg):消炎作用や収れん作用があり、腸の緊張を和らげる
- ロートエキス散(20mg):腸の緊張を和らげ、食欲を刺激
また、ロートエキスにはガストリンやヒスタミンによる胃酸やペプシンの分泌を抑制する作用をはじめ、軽度の局所麻酔作用があります。
そのため、服用すると腹痛や疼痛が軽減し、落ちついて休めるようになります。
下痢に限らず、体調不良のときはゆっくり休んだり眠ることが大切だから、ありがたいね!
食欲がなくて回復が遅れることを考えると、ロートエキスの食欲刺激作用も見逃せないポイントです!
ディアバスターによる下痢の改善率は96.8%
ディアバスターは、犬猫の下痢・腹痛に高い効果が期待できる薬です。
下痢を起こした犬21頭にディアバスターを投与した臨床試験では、下痢の回数・食欲の程度・活動性・腹痛という5つの総合スコアが治療前と治療後で96.8%改善したというデータが出ています。
とくに、突然の下痢にはとても有効で、迅速に下痢が改善するとの報告があります。
長引く下痢は脱水の原因になりますし、本人もつらいもの。すぐに効果が出るのは本当にありがたいですね!
なお、慢性的な下痢や中程度から重度の下痢には、同社の整腸剤【ビオイムバスター】との併用投与がおすすめされています。
ディアバスターの投与方法
ディアバスターは、経口摂取が必要な錠剤タイプ。
錠剤の服用が難しい場合は粉状にしたり、シロップに溶かして処方してもらうこともできます。
ディアバスターの容量と投与タイミング
容量は動物の体重によって異なり、以下のように調整されます。(下記の量を1日2回、朝晩投与)
犬の場合
- 5kg未満:1錠
- 5から20kg未満:2錠
- 20kg以上:3錠
猫の場合
- 1kg未満:4分の1錠
- 1~3kg未満:2分の1錠
- 3kg以上:1錠
食事と一緒に与えたり、口を開けて直接飲ませたり、投与方法に決まりはありません。愛犬・愛猫に合った方法で投与しましょう。
ちなみに、ディアバスターは鮮やかな黄色で薬感の強いにおいがしますが、食いつきは意外と悪くありません。
苦味のある有効成分を嗜好性の高い素材でマスキングしているので、サッと飲み込ませればトラウマにもなりにくいですよ。
濡れると溶けて嫌なので、乾いた手で触ってね。
ディアバスターの服用期間
ディアバスターの投与期間に上限はありません。
抗生剤のように「途中で服用を止めると耐性菌がつく」こともないですし、長期間飲ませても体に悪影響が出ることはありません。
獣医師の指示通り、下痢がよくなるまできちんと与えましょう。
なお、冷えや食べすぎ、ストレスや季節の変わり目など、一時的な単純性下痢の場合は、ディアバスター投与後数日で症状が改善することがほとんどです。
そのため、ディアバスターを投与しても改善しない、止めるとすぐに下痢をしてしまうなどの場合は、原因をしっかり突き止めて適切に対処することをおすすめします。
ひたすら薬で抑えていても意味がないからね!
ディアバスターの副作用
下痢止め効果が高いのはもちろん、大きな副作用がないのもディアバスターの魅力です。
ディアバスターの副作用として一般的なものは、便秘・排便回数の減少があります。
実際、我が家でも愛犬にディアバスターを飲ませると、排便回数はいつもより減ります。
イメージとしては、普段1日2~3回くらい出していたのに、ディアバスター服用中は2日間出ない→1回出してまだしばらく出ないような感じです。
とはいえ本人としても出したいそぶりがなく、出した便も硬すぎたりするわけではないので、我が家ではあまり気にしていません。
人もたくさん下した後はしばらく出なかったりするよね。
ディアバスターには敏感になった腸の動きを適度に抑えてくれる効果もあるので、これは副作用というより通常の作用と考えてもいいかも。
あまりに長く便が出ない場合は動物病院に相談してくださいね。
ディアバスターに関するよくある疑問
最後に、ディアバスターに関する疑問に解説します。
ディアバスターの保管方法は?
直射日光が当たる場所は避け、室温で保管します。高温多湿な環境も避けましょう。
また、ディアバスターは動物専用の医薬品のため、人が誤って食べてしまうと健康に悪影響が出る可能性があります。
必ずこどもの手が届かない場所に保管しましょう。
ディアバスターの賞味期限は?
ディアバスターの有効期間は、製造から3年間です。
ただし、動物病院でディアバスターが処方されるときはシートでもらうことが多く、正確な期限が分かりません。
とくに、シートから出してジップロックなどに移されている場合は劣化するのも早いので、残った分は処分するようにしましょう。
※腐敗することはないですが、時間が経つにつれて品質や効き目が落ちて期待通りの効果が現れない可能性が出てきます。
ディアバスターとビオイムバスターの違いは?
ディアバスターは下痢止め、ビオイムバスターは整腸剤です。
どちらも腸に働きかける薬ではありますが、有効成分やおもに期待できる効果は異なります。
なお、中程度から重度の下痢の場合、ディアバスターとビオイムバスターを併用して投与することも多いです。
一緒に飲むことでよりよい整腸作用が期待できるので、気になる人は獣医さんに相談してみてくださいね。
ディアバスターを投与した後にうんちが黒くなるのは正常?
正常です。
便が黒くなる原因は、有効成分のひとつである次硝酸ビスマスにあります。
次硝酸ビスマスは腸管内で硫化ビスマスになり黒色化するため、便が黒く見えるようになりますが、健康に問題はありません。
ただし、便に血が混じっている場合も黒くみえることがあるため、気になる場合は獣医師に相談のうえ糞便検査を受けるのがおすすめです。
原材料のなかで、食物アレルギーの可能性がある成分はある?
魚由来のペプチドが使用されているので、魚アレルギーの場合は注意が必要です。
最終的な投与については、処方された動物病院で相談してください。
ディアバスターはネットやペットショップでも買える?
ディアバスターはamazonや楽天、ヤフーショッピングなどの各種ECサイトで購入できます。
また、ペット用品を扱うネットショップでも購入可能です。
ただし、ディアバスターは基本的に獣医師の処方のうえ服用するものです。
ほかの薬との飲み合わせに注意すべき可能性もあるため、自己判断での併用は避けましょう。
【根本的な改善】よくお腹を壊す、慢性的な下痢の対処法って?
愛犬・愛猫が頻繁にお腹を壊していると「お腹が弱いのは体質だから…」「薬を飲めば治るから大丈夫」と、不調に慣れてしまう飼い主さんも少なくありません。
ですが、お腹のトラブルがある・ないでは日々の生活の質は雲泥の差。
大きな病気を見過ごしてしまう可能性も高くなりますし、きちんと改善するにこしたことはありません。
病気に負けない元気な身体を維持するには、腸を丈夫にしておくことが大切!
なにからすればいいか迷ったら、まずは普段の食事を見直してみてくださいね。
消化にいいフードに切り替える
最近はいろいろなペットフードがありますが、お腹が弱い犬猫はちょっとした負担でも不調を起こすので、とにかく消化にいいフードを選ぶ必要があります。
具体的には、「柔らかいもの」「温かいもの」「肉がメインかつ野菜など食物繊維源も含まれているもの」「腸内環境を整える成分が豊富に配合されているもの」などですね。
一方、オイルコーティングされたフードや肉原料が多すぎるもの(高栄養すぎるもの)、硬くて冷たいものは、消化管に負担がかかるので避けたほうがいいでしょう。
フレッシュフードや手作りごはんはお腹にやさしいので、胃腸が敏感な子でもおいしく食べられることが多いです。
食いつきもチェックしつつ、よさそうなものを探してみてね。
整腸作用のある食材をトッピングする
ヨーグルトや豆類、バナナ、りんご、ブロッコリーなどの食材は、犬の腸活におすすめの食材です。
いつものフードにトッピングして与えたり、おやつやご褒美代わりにしたりして、楽しく愛犬の腸を整えましょう。
はじめて与える食材は一口程度にして、体調に問題がないか確認することを忘れずに!
適量であれば、さつまいもやかぼちゃもおすすめですよ。
なお、猫は完全肉食動物のため、これらのトッピングはNGです。
フードを見直したり、サプリやふりかけで腸内環境改善を目指しましょう。
整腸作用のあるサプリやふりかけも活用する
フードの変更が難しい場合は、オリゴ糖や乳酸菌配合のサプリ・ふりかけを取り入れるのもおすすめです。
これらは嗜好性に優れているものが多く、デリケートな愛犬・愛猫も受け入れてくれやすいのが魅力。
持病があって療法食を食べていたり、こだわりが強くて他のフードは一切食べなかったりするときでも、比較的試しやすいでしょう。
ビオフェルミンなどの整腸剤は動物病院でも処方してもらえるので、一度相談してみてはいかがでしょうか。
ディアバスターまとめ
ディアバスターは犬猫の下痢改善に大きな効果を発揮する薬です。
大きな副作用もなく、適切な用法容量を守れば、安心して愛犬・愛猫に投与できるでしょう。
一方、よくお腹を壊してしまう、頻繁にディアバスターのお世話になるという場合は、根本的な解決策を考える必要があります。
病気が原因でないお腹のトラブルは、腸内環境の乱れからきている可能性が高いです。
栄養バランスの整った消化にやさしい食事は、腸内環境を正常に整えるために欠かせません。
長生きのコツは、腸を健康に保つこと!
愛犬・愛猫に合った食事を選んで、心穏やかな日々を過ごしてくださいね。
手作りごはんで愛犬をもっと幸せに
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