良質なタンパク質という言葉、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
ドッグフードのランキングサイトや動物病院のブログでもよく見るけど、これって具体的になんなの?
この記事では、良質なタンパク質の正体と具体的な食材について詳しく解説します。
愛犬の健康知識を増やしたい!という方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
良質なタンパク質とは
良質なタンパク質とは、「必須アミノ酸がバランスよく含まれているタンパク質」を指します。
良質なタンパク質はタンパク質の栄養価を示す指標「アミノ酸スコア」が100に近く、体内での利用効率が高いのが特徴です。
犬が体内で合成できないアミノ酸は10種類
なお、必須アミノ酸とは、数あるアミノ酸のうち、体内で作りだすことができないアミノ酸のことをいいます。
私たち人間の必須アミノ酸は9種類、犬では10種類の必須アミノ酸があり、これらはすべて食材から摂取する必要あり!
どれか一つでも欠けたり、量が足りなかったりすると、本来必要なエネルギーを確保できなくなります。
犬の必須アミノ酸
- アルギニン
- イソロイシン
- スレオニン
- トリプトファン
- バリン
- ヒスチジン
- フェニルアラニン
- メチオニン
- ロイシン
- リジン
▼アミノ酸の桶理論
必須アミノ酸を1枚の板に見立てて桶を作った場合、どれか1つでも足りないと板が短くなり、水があふれだす
=タンパク質は必須アミノ酸を余さず含んだものを摂取するのが良い
良質なタンパク質を含む食材
アミノ酸の含有バランスは、アミノ酸スコアの値で判断します。
ここでは、良質なタンパク質を含む代表的な食材を紹介します。
肉類
多くの肉は、良質なタンパク質の優れた供給源です。
ドッグフードに使われる肉類としては、鶏肉(チキン)、豚肉、牛肉等が挙げられますね。
肉類のうち、特にタンパク質の含有量が多いのは鶏のささみで、次いで鶏むね肉、豚もも肉があります。
鶏肉は高タンパク・低カロリーの食材なので、ダイエット中の犬にもおすすめですよ。
- 鶏肉
- 牛肉
- 豚肉
- 鶏レバー
タンパク質は脂肪分が少ない赤身肉が豊富!
魚類
まぐろ、あじ、いわし、かつおぶし、鮭などの魚も、良質なタンパク質の代表です。
特に青魚には、脳の健康維持やアレルギー症状の緩和などに効果が期待できるEPA・DHAが豊富に含まれています。
食物アレルギーの原因にもなりにくいため、アレルギー体質の犬はもちろん、健康な犬にも積極的に与えたい食材です。
- 鮭
- あじ
- ブリ
- あゆ
- いわし
- まぐろ
- かつお
- かれい
- 金目鯛
- かつおぶし
卵
卵は完全栄養食とも呼ばれるほど、栄養価が高い食材です。
ビタミンCと食物繊維以外の栄養素が含まれており、「ちょっと疲れ気味かな?」というときに与えるのも◎
にわとりの卵である鶏卵をはじめ、うずらの卵も小さいながら栄養価が高いのでおすすめですよ。
大豆
一般的に植物性のたんぱく質はアミノ酸スコアが低めですが、大豆はなんとアミノ酸スコア100!
きな粉、納豆、豆腐、豆乳など、大豆から作られた食品は、動物性タンパク質に引けを取らない栄養があります。
特に発酵食品である納豆は腸内環境を整える効果も期待できるので、ぜひ愛犬に与えたい食材といえます。
乳製品
チーズやヨーグルトなどの乳製品も、アミノ酸スコア100の食材です。
これらの食材は筋肉の材料になるBCAAが豊富に含まれており、体内への吸収率が高いことで知られています。
脂質が高いぶん太りやすい犬に与える際は注意が必要ですが、食が細い犬や食べてもなかなか太れない愛犬にはおすすめ!
チーズは種類によって塩分・脂質がかなり多いので、基本的にはペット用のものを選びましょう。
水分補給も並行したいならヤギミルクもおすすめ!
野菜や穀類はアミノ酸スコアが低い
野菜や穀類にもタンパク質は含まれますが、動物性タンパク質に比べるとアミノ酸スコアは低め。
体内への吸収率も低いので、よく食べるからといって野菜や穀類ばかり愛犬に与えるのは良くありません。
例えダイエット中でも、手作りご飯を作るときは必ず肉や魚、卵など動物性タンパク質をメインにしてくださいね。
犬にとって必要なタンパク質の摂取量
ペットフードの栄養基準などを定めるアメリカの団体「AAFCO」のガイドラインによると、犬に必要なタンパク質の量は
- 成犬:18%以上
- 子犬や母犬(妊娠時、授乳時):22.5%以上
です。
総合栄養食として販売されているドライフードの多くは、上記の基準を満たしています。
そのため、各フードの給与量目安を守って与えていれば、タンパク質不足や過剰摂取になることはありません。
タンパク質の必要量は年齢や活動量などによって変わりますが、全カロリーの20~30%程度を目安に考えると良いでしょう。
手作りごはんの場合はタンパク質の摂取量が不足しがちなので、意識して多く取り入れてみてね。
タンパク質の過剰摂取・不足に注意しよう
タンパク質を過剰摂取すると、肥満や病気のリスクが高まります。
タンパク質は筋肉を作るために必要な栄養素ですが、あまったぶんは脂肪として体内に蓄積されるため要注意。
分解の過程で老廃物が大量に出ると肝臓や腎臓に負担がかかり、肝臓病や腎不全、尿石症を引き起こす可能性もあります。
また、吸収されなかったタンパク質が腸に流れると、悪玉菌が増えて腸内環境が乱れることもあるでしょう。
一方、タンパク質の不足も健康上大きな問題があります。
タンパク質が不足すると犬の体力は低下、コラーゲンやケラチンを生成できず大量の抜け毛が出たり、毛艶が悪くなったりします。
また、貧血や発育不全などを起こすこともあるため、タンパク質は意識して摂取させましょう。
良質なタンパク質が摂れる!手作りごはんレシピ
ここからは、良質なタンパク質を含む食材を使った、簡単手作りごはんレシピを紹介します。
犬ご飯/まぐろのちらし寿司
良質なタンパク源であるまぐろとうずらの卵を使ったちらし寿司。
手作りごはん風の総合栄養食「ココグルメ」がベースなので、栄養バランスもばっちりです。
彩りあざやかで見栄えも良いので、記念日の料理にもおすすめですよ。
犬ご飯 チキンのチーズソテー
鶏肉にすりおろしたチーズをまぶして焼き上げた一品。
野菜のなかでも栄養価が高めのブロッコリーとトマトを使った、ヘルシー犬ごはんです。
チーズは犬用のものを使っているので、塩分や脂質も控えめですよ。
愛犬スタミナご飯 和だし親子丼風
卵と鶏肉をかつおぶしで煮込んだ、お腹に優しい手作りごはん。
水分がたっぷり摂れるので、脱水になりやすい老犬や泌尿器疾患の犬にもおすすめです。
腎臓病や心臓病でリンやマグネシウムの摂取量に制限がある犬は、かつおぶしを抜いて作ってあげましょう。
栄養は色々な食材から摂取しよう
良質なタンパク質は、愛犬の健康維持に大きく関わる大切な要素です。
とはいえ、アミノ酸スコアが高い食品ばかり与えていれば安心というわけではないので要注意。
アミノ酸スコアが低い食材もスコアが高いものと組み合わせれば、体内での利用効率を高めることは可能です。
その食材でしか摂ることができない栄養素なども考えると、良質なタンパク質だけ与えるというのはおすすめできません。
栄養素はバランスよく摂取するのが一番なので、食材は色々なものを取り入れましょう。