実はうちの子、肝臓が悪くて…ドッグフードを選ぶ時のポイントって何だろう?
それは心配ですね…。愛犬が肝臓を患っている時は、押さえるべきポイントがあります。
難しい専門用語はできるだけ使わず、分かりやすく説明しますね。
具体的な商品も紹介するので愛犬の肝臓ケアに悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。
まずはフードを選ぶ時のポイントから
腎臓を保護するためには、食事内容の見直しが重要です。
ドッグフードを選ぶ際、腎臓が悪い犬で特に重視すべき点は以下の3点です。
選ぶ時のポイント
- 脂質が少ない
- タンパク質が少なめ
- 銅・ナトリウム(塩分)が少ない
このうち、特に重要なのは「タンパク質・脂質の量」です。
タンパク質は肝細胞の再生や修復に必要な栄養素ですが、有毒物質も多く生み出します。
また、脂肪を多く含むフードは肝臓に負担がかかるので、肝臓病では低脂肪食が勧められます。
いずれも過度な制限は良くないので、症状の進行度合いによって適切な摂取コントロールが必要です。
とにかく肝臓に負担をかけないことが大切!
基本的に、肝臓病の犬には栄養価が高すぎないドッグフードを与えましょう。
具体的には、低脂質・低タンパク質・低ナトリウムに調整されているかチェックしてください。
うーん、高すぎないって具体的にはどのくらい?
AAFCOの栄養基準では、これら成分の摂取目安は以下と定められています(健康な成犬)
AAFCOの栄養基準では、これら成分の摂取目安は以下と定められています(健康な成犬)
AAFCOの栄養基準 | |||
---|---|---|---|
最低値 | 最高値 | ||
成長期 | 維持期 | ー | |
粗脂肪 | 8.5% | 5.5% | ー |
粗タンパク質 | 22.5% | 18.0% | ー |
ナトリウム | 0.6% | 0.6% | ー |
更に、市販されている一般のフードと療法食の比較もしてみましょう。
一般的なフード | 療法食 | ||
---|---|---|---|
A社 | B社 | ヒルズ「l/d」 | |
脂肪 | 12.0% | 10.0% | 23.5 % |
タンパク質 | 28% | 28% | 17.7% |
ナトリウム | 0.29% | 0.3% | 0.19 % |
タンパク質は、一般的に動物性原料が多いほど増える傾向にあります。
最近は高タンパクフードとして、タンパク質30%以上の商品もありますが、家庭犬には不向きです。
目安としては「タンパク質28%以下」のドッグフードを基準に選ぶとバランスが良いですよ。
運動量がそんなに多くない小型犬であれば25%くらいのものでもOKです!
肝臓病の犬には療法食を与えるべき?
療法食はかなり栄養値が低いよね。やっぱり肝臓病なら療法食をあげたほうがいいのかな?
肝臓病になってしまったら、ち密な栄養管理が必要です。
肝臓を保護するには栄養配分が重要になるので、症状が進行している場合は療法食を勧められます。
ちなみに、動物病院で処方されるのはロイヤルカナンやヒルズといった海外メーカーのものがほとんどです。
これらのメーカーは学術研究による科学的な根拠を公表しており、高い実績を持っています。
肝臓の数値が悪い=療法食必須ではない
血液検査で肝臓の数値が高かった時も、療法食を与えたほうがいいのかな?
いえ、そうとはいいきれません。
血液検査の値だけが悪くて症状が出ていない、初期の状態では動物病院処方のフードでなくてもOK。
タンパク質や脂質が高いものは避けたほうがいいですが、一般的な栄養価なら過度に避けなくて大丈夫です。
肝臓病の療法食について
そうなんだ…ちなみに肝臓の療法食にはどんなものがあるの?
以下のようなものが一般的ですね。
肝臓病の療法食で有名なもの(ドライ)
- ヒルズ 「w/d」
- ヒルズ「l/d」
- ロイヤルカナン「消化器サポート(低脂肪)」
- ロイヤルカナン「肝臓サポート」
※ウェットも同シリーズにあります。
動物病院では、これらメーカーの担当者が定期的に勉強会を開いています。
一般の方向けの勉強会もまれに開かれているので、興味がある方は調べてみてはいかがでしょうか。
なお、新しい療法食に切り替える際は必ずかかりつけの獣医師に確認するようにしましょう。
なるほど。ウェットもあるの?
ありますよ!療法食のほとんどはドライとウェット、両方のパターンを販売しているので、使い勝手も良いです。
スープタイプの一般食もおすすめ
当ブログで紹介しているフードのうち、よりヘルシーなのは「ミーアンドマミー」と「キドニーレシピ」があります。
どちらも添加物不使用・栄養組成の調整済・犬の食いつきがかなり良いので、食が細くなった愛犬にぴったり。
愛犬の肝臓病が進行した時の食事
症状が進行すると食欲が低下することもあるよね…
肝臓機能が低下すると、血液中に毒素が溜まって気持ちが悪くなります。
常に気持ち悪い状態が続くと、食欲が低下してしまいますし、療法食自体味気なく感じます。
ご飯を食べられないと体力が落ちてしまうので、体に負担をかけないトッピングで対処しましょう。
犬が食欲不振におちいった時におすすめなトッピングはこれ!
肝臓によい食材
- 納豆(ひきわりがいい)
- ごま
- きゃべつ
- りんご
塩分・脂質が多い食べ物は避け、野菜や果物を活用しましょう。
関連記事>>「犬の手作りご飯にも野菜を!おすすめ野菜・調理法・食べない時の対処法」
関連記事>>「ドッグフードにトッピングをしてみよう!使える食材や注意点、時短アイデア」
肝臓病の犬に摂取させたいもの
普段の生活で、肝臓病の犬に摂取させたいものはありますか?
そうですね…余裕があれば、肝臓ケアに役立つものを摂取させましょう。
- 亜鉛
- 食物繊維
- L-カルニチン
- BCAA(分岐鎖アミノ酸)
- 抗酸化物質
①:亜鉛
亜鉛には肝臓を保護する作用があり、肝臓の繊維化を防いでくれます。
肝臓病といっても様々な病気がありますが、亜鉛はすべての肝臓疾患で摂取が推奨されています。
肝臓病の犬では、肝臓の亜鉛濃度が低くなっているので、意識的に摂取させましょう。
②:食物繊維
食物繊維には、腸内の善玉菌を増やす作用があります。
腸内の善玉菌が少ないと、そのぶん悪玉菌が増えてアンモニアなどの有毒ガスをたくさん発生させます。
食物繊維には、腸内のアンモニアを便として排出する作用があるので、肝疾患の犬に有益です。
③:L-カルニチン
L-カルニチンは身体に溜まっている脂肪をエネルギーとして活用するために必要です。
L-カルニチンは肝臓で合成される栄養素なのですが、肝臓病の場合は生成量が低下します。
肝臓機能が弱っても、できるだけ正常な体を維持できるよう、意識的に摂取させてあげましょう。
④:BCAA(分岐鎖アミノ酸)
犬の必須アミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンのことをBCAAと呼びます。
BCAAは分岐鎖アミノ酸というもので、タンパク質合成を促す、筋肉量の維持に必要なアミノ酸です。
肝臓が弱ってくると、アンモニアの解毒は筋肉が代行するようになるため、BCAAはどんどん消費されます。
BCAAをサプリメントで摂取することで、血液中のアンモニア濃度を低下させる効果が期待できます。
⑤:抗酸化物質
ビタミン、ポリフェノール、カロテノイドなどの抗酸化物質も、肝臓病の犬には有益です。
特にビタミンE・Cには強い抗酸化作用があり、傷ついた肝臓の修復をしたり、肝機能を向上させます。
本来、犬は体内でビタミンCを生成することができますが、肝機能低下時はサプリで摂取しましょう。
肝臓病の犬が摂取したいサプリメント
肝臓病では、摂取する栄養の管理がとても大切です。
健康であればわざわざ摂取する必要のない栄養素も、肝臓病の犬では意識して摂取する必要あり。
肝臓ケアができるサプリメントを上手に活用して、愛犬の肝臓をサポートしましょう。
ここでは、肝臓病の犬におすすめのサプリメントをまとめてみました。
- へパアクト
- 毎日良肝
- ベジタブルサポート
- レバワン
- サミーフィッシュ
ヘパアクト
肝臓加水分解物を配合した、肝臓の再生を促進してくれるサプリメントです。
シニア犬の肝酵素の数値が改善したという報告もあり、動物病院でも広く取り扱っています。
抗酸化作用の強いクルクミンが配合されているので、効率よく肝臓の酸化ダメージを修復してくれます。
毎日良肝 肝臓エキス&プラセンタ
肝臓の酵素活性をサポートしてくれるサプリメントです。
肝臓エキスやBCAAをはじめ、8種類もの栄養素が含まれている贅沢ぶり。
犬が食べやすいチキン味なので、薬が苦手なわんちゃん・警戒心が強いわんちゃんにもおすすめです。
ベジタブルサポート
レバワン
SAMe(サミー)やBCAAを含んだサプリメントです。
肝機能向上に加え、肝臓の健康維持・解毒作用・保護作用という4つのアプローチが期待できます。
獣医師と犬の管理栄養士が共同監修のうえ作られており、効率の良い栄養補給が可能です。
サミーフィッシュ
肝機能をサポートしてくれる成分「SAMe(サミー)」を含んだサプリメントです。
欧米では肝機能低下や関節炎のサプリメントとして広く知られており、良質な栄養素を補給できます。
犬の嗜好性が高い出汁原料を使ったふりかけタイプなので、トッピングとしてもおすすめです。
腎臓病の犬におやつはあげてもいい?
おやつは犬の健康に不要なものなので、基本はあげないほうが良いです。
せっかく療法食で肝臓の負担を減らせているのに、おやつで栄養バランスが乱れては大変。
肝臓病を発症した後は、できる限りおやつを与えずに生活させるのが望ましいでしょう。
そうはいっても、おやつの制限で愛犬にストレスがかかるのは心配ですよね。
肝臓病は長く付き合っていく病気ですし、毎日楽しく過ごせるようにしてあげたいもの。
肝臓病の重症度にもよりますが、基本的に「脂肪の多いおやつは避け、ヘルシーなもの」をあげましょう。
にんじん、ブロッコリー、りんご、みかん、バナナなど、抗酸化作用の高い野菜・果物もおすすめ。
最近は腎臓病の犬用に作られたおやつもあるので、良さそうなものを探してみてくださいね。
関連記事>>「犬の手作りご飯にも野菜を!おすすめ野菜・調理法・食べない時の対処法」
肝臓病の犬のドッグフードまとめ
初期の肝臓病では症状が現れないことも多く、気付いた時には症状が進行しているケースも。
愛犬の肝臓機能を保護するには、適切な食事と日々の生活習慣、サプリメントによる栄養補給が大切です。
肝臓機能を上手にサポートして、愛犬が天寿をまっとうできるように努めてあげてくださいね。
愛犬が毎日楽しく過ごせるよう、まずは最適なドッグフード選びから取り掛かってみてはいかがでしょうか?