愛犬・愛猫が嘔吐したり、気持ち悪そうにしたりしていると、とても心配ですよね…
嘔吐・吐き気があるときに処方される薬はたくさんありますが、なかでもボミットバスターは多くの動物病院で使用されています。
そこでこの記事では、ボミットバスターに期待できる効果効能、成分や副作用、ほかの吐き気止め薬との違いを紹介します。
難しい表現はせず、分かりやすく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
ボミットバスター錠とは?期待できる効果・効能
ボミットバスターは、共立製薬株式会社の消化器機能異常治療剤です。
おもに犬猫の嘔吐を抑えるために処方される薬で、胃炎や腸炎による嘔吐・食欲不振に効果が期待できます。
ノミダニやフィラリアの予防薬、寄生虫を駆虫するときの薬で吐き気を感じてしまうときにも出されることがあるよ!
動物専用のお薬なので、犬と猫、どちらも安心して飲ませられるのがメリットです。
有効成分と用法・容量
ボミットバスターの有効成分(主成分)は、塩酸メトクロプラミドという成分です。
塩酸メトクロプラミドは嘔吐中枢に直接作用して嘔吐や吐き気を抑え、消化管の運動をスムーズにする働きがあります。
【用法・容量】
通常、体重1キロあたり下記量を1回量として1日1~2回飲ませる。
- 犬:0.125~2.0mg
- 猫:0.4~2.5mg
【犬の投与量の目安】
- 1.5kg未満:適宜(症状等により獣医師が判断)
- 1.5~10kg:2分の1錠
- 10~20kg:1錠
- 20~40kg:2錠
【猫の投与量の目安】
- 1kg未満:適宜(症状等により獣医師が判断)
- 1~5kg:2分の1錠
※真ん中に割線が入っていて、手やはさみで簡単に半分にできます。
ボミットバスターの安全性と有効性は、臨床試験によって確認されています。
1日1回か2回かは症状の程度や状況を考慮し、獣医師が判断するので、自己判断はしないこと。
基本的には食事に混ぜて与えたり、直接口を開けて飲ませたりして服用させましょう。
ちなみに、ボミットバスターはかまぼこ風味に作られているので、薬嫌いの犬猫も比較的すんなり飲んでくれることが多いです。
飼い主さんが緊張すると警戒されやすいので、おやつ感覚で楽し気に与えるのがおすすめ!
錠剤のままだと難しいときは獣医さんに相談すると、粉状に砕いてくれたり、別の薬に変えてくれたりするよ。
無理に飲ませるのはお互い大変なので、難しいと感じたら気軽に相談してみてくださいね。
副作用のリスクはある?
使用上の注意をみると、ボミットバスターの投与によって
「まれに流涎(よだれ)、不穏状態、四肢あるいは頚部の振せん、運動失調の症状が現れることがある」と記載されています。
もしこれらの症状が現れた場合は使用を中止し、獣医師に相談してください。
通常、副作用は数時間以内に治まるといわれていますが、とくに幼い子犬・子猫や体重の少ない犬猫の場合は注意しましょう。
とはいえ、ボミットバスターは安全性が高い薬なので、副作用は出ないことがほとんどです。
犬39頭、猫27頭を対象におこなった臨床検査では、ボミットバスターによる副作用と認められるものはありませんでした。
参照:http://akiyama-vet.com/1/PDF/drug_etc/vomitbuster.pdf
共立製薬株式会社の動物用医薬品にはディアバスターやビオイムバスターなどがありますが、どれも安全性が高い薬です。
副作用がほぼない&よく効くお薬なので、過度に心配せず与えて大丈夫だよ!
プリンペランなどほかの嘔吐抑制剤との違いは?
プリンペラン錠はボミットバスターと同じく、塩化メトクロプラミドが有効成分の嘔吐抑制剤です。
ボミットバスターとのおもな違いは、①有効時間の長さによる処方の頻度と②嗜好性、③対象動物の3つです。
①有効時間の長さによる処方の頻度
プリンペラン錠は1日2回もしくは3回の投与が必要ですが、ボミットバスター錠は1日1~2回の投与です。
ボミットバスターは溶解速度が遅く胃内でじっくり溶けるため、頻回与える必要がありません。
1日1回からでOKなのは飼い主・動物ともに負担が少ないね!
②嗜好性
ボミットバスターには、犬猫の嗜好性を考慮したフレーバーが添加されています。
味はかまぼこをイメージした魚由来のもので、警戒心が強い猫でも比較的スムーズに飲んでくれやすいといわれています。
一方、プリンペラン錠は無臭。もしくはややアミン臭(アンモニアや魚の生臭さに近い臭い)があり、味はかなり苦いです。
③対象動物
ボミットバスターの対象動物は犬猫ですが、プリンペランはもともと人間用に作られた医薬品です。
そのため、1日の投与回数が多かったり、苦みのせいで動物がなかなか飲んでくれない…といったケースも珍しくありません。
※プリンペランには筋肉・皮下注射もあるので、即効性を期待する場合はそちらが有効です。
ボミットバスターに関するよくある疑問
ここでは、ボミットバスターを飲ませるうえで気になる疑問に答えていきます。
ボミットバスターは食物アレルギーがあっても大丈夫?
魚由来の成分で構成されているので、魚にアレルギーがある犬猫は注意が必要です。
重篤な症状につながる可能性は低いですが、念のためかかりつけの動物病院で相談すると安心です。
色が違うものがあるけど大丈夫?
ボミットバスターには天然成分が含まれているので、保存状態によっては色が濃くなります。
処方されてしばらく経ったものは使用せず、改めて動物病院で処方してもらいましょう。
ボミットバスターはどこで購入できる?
ボミットバスターは、おもに動物病院で購入できます。
また、動物用医薬品を取り扱うオンラインショップでも販売されています。
ただし、ボミットバスターは獣医師の指示のもと与えることが推奨されている薬なので、個人で購入するのはおすすめできません。
自己判断で嘔吐を止めてしまうと最悪命にかかわるので、安易に購入するのは避けてくださいね。
ボミットバスターの保存方法・賞味期限は?
ボミットバスターの賞味期限は、製造から3年間です。
保管は直射日光が当たらない、涼しくて風通しが良い場所でおこなってください。
万が一ペットやこどもがたくさん飲み込んでしまうと体調不良の可能性があるため、手の届かない場所で保管するのが安心です。
【根本的な改善】健康なのに愛犬・愛猫がよく吐くのは食事が原因かも?
愛犬・愛猫が頻繁に吐く場合「体質だから…」「薬を飲めば治るから大丈夫」と、不調に慣れてしまう飼い主さんも少なくありません。
ですが、日常的に吐いてしまうのは身体からのSOSかも。
大きな病気を見過ごさないためにも、まずは普段の食事を見直してみましょう。
消化にいいフードに切り替える
最近はいろいろなペットフードがありますが、胃腸が弱い犬猫はちょっとした負担でも不調を起こすので、とにかく消化にいいフードを選ぶ必要があります。
具体的には、「柔らかいもの」「温かいもの」「肉がメインかつ野菜など食物繊維源も含まれているもの」などですね。
反対に、オイルコーティングされたフードや肉原料が多すぎるもの(高栄養すぎるもの)、硬くて冷たいものは消化管に負担がかかるので避けるべき。
フレッシュフードや手作りごはんはお腹にやさしいので、胃腸が敏感になっている子でもおいしく食べられることが多いです。
食いつきもチェックしつつ、よさそうなものを探してみてくださいね。
とくに猫ちゃんの場合、本猫も飼い主さんも嘔吐に慣れがちだよね。
「長毛の猫は毛づくろいで毛を飲み込みやすいのでよく吐く」といわれますが、うんちと一緒に排出できるこもたくさんいます。
嘔吐は体力も使うので、なるべく吐かないで済むような食事を選んであげたいですね。
ボミットバスターまとめ
ボミットバスターは、犬猫の嘔吐・食欲不振に使える薬です。
かまぼこ風味で作られているので、犬猫の嗜好性が高いのも特徴のひとつ。
経口投与・1日1回から使用できるので、ほかの嘔吐抑制剤に比べて利便性が高いのが嬉しいですね。
また、ボミットバスターには目立った副作用も少なく、安心して服用させられます。
ごくまれによだれや四肢・頭の揺れなどの副作用がみられることがありますが、その際はすぐに獣医師に相談しましょう。
この記事がお役に立てていれば嬉しいです!