「犬は1~2日ごはんを食べなくても大丈夫」
「愛犬がフードを食べないときは、食べるまで他のものは与えないことが大切」
「本当にお腹が空いたら、どんなご飯でもきちんと食べるようになるよ」
これらの言葉、愛犬のフード嫌いに悩んでいる方なら、一度は聞いたり目にしたことがあるのではないでしょうか。
確かにこれらは間違った情報ではありませんし、むやみな偏食を防ぐには大切な考えです。
ですが、あまりに長く空腹状態が続くのも、健康面では良いことではありません。
この記事では、長い空腹によって起こりうる問題と具体的な対処法を紹介します。
留守番時や朝ごはん前に吐いてしまうパターンにもおすすめの方法も載せてるよ!
愛犬の性格やご家庭の状況に合わせて、無理なくできそうなものを試してみてくださいね。
なぜ犬は空腹で吐くのか?
そもそもの疑問として、なぜ犬は空腹が続くと吐くのでしょうか?その理由は、犬の胃酸の強さにあります。
犬と人間の胃酸の強さ
物質の酸性・アルカリ性の度合いは、pHという数値で表すことができます。
目盛りは0~14で、7が中性、それより小さい数値は酸性、大きい数値はアルカリ性に分類されます。
pHの数値が小さいほど酸性で、数値が大きいほどアルカリ性の性質が強くなるということですね。
犬の場合、空腹時の胃のpHは1.5~1.7程度であり、食事をとっている間も約2.1の強酸性を保っています。
一方、人間の胃酸は空腹時は3.0前後と酸性ですが、食事中は胃酸が薄まり5.0程度の弱酸性になります。
強い胃酸はタンパク質を効率よく分解し、病原体を倒すために必要ですが、そのぶん胃粘膜を傷つけるリスクもあります。
胃の中がからっぽの状態は胃粘膜が胃液によって荒れやすい環境なので、長時間の空腹には注意が必要です。
犬の胃酸が強いのはなぜ?
ちなみに、犬の胃酸の働きが強い理由は、獲物を生のまま食べたり、骨や皮など消化に悪いものを食べたりしても体調に影響が出ないように、だといわれています。
タンパク質を効率的に分解できると犬の健康に必要なアミノ酸もしっかり吸収でき、健康的な身体を維持できるようになります。
また、野生生活では多少腐っているものを食べる機会も少なくありませんが、犬は胃液が強力なぶん殺菌能力も高いので、食中毒などを起こしにくいといえます。
このように、犬の強力な胃酸は「消化」と「健康維持」の両面で大きなメリットがあるのですね。
長時間の空腹で起こる3つの問題
それでは本題。長時間の空腹で起こりうる主な問題としては、以下の3つがあります。
- 胆汁嘔吐症候群
- 胃炎
- 低血糖
胆汁嘔吐症候群
愛犬が空腹時間が長い場合、特に口から黄色や緑色の液体を吐くことがあります。
これは十二指腸から分泌された胆汁が空腹によって胃に逆流してしまい、その刺激で吐いてしまうことが原因です。
よく朝や夜の食事前に見られがちな嘔吐ですね。
基本的に、胆汁嘔吐症候群は単発の症状で嘔吐した後も普通にごはんをたべられる子が多いですが、繰り返し嘔吐すると胃や食道、口の中の荒れにつながります。
気持ち悪さから一時的に食欲が落ちてしまうこともあり、とくに子犬やシニア犬は要注意です。
胃炎
吐いたものが白かったり、透明だったりする場合、それは胆汁ではなく胃液の可能性が高いです。
空腹時間が長いと胃酸が過剰に分泌され、胃粘膜の刺激によって嘔吐しやすくなります。
胃粘膜が刺激され続けると胃もたれや胃潰瘍のリスクが高まり、血が混じった嘔吐や食欲不振、血便などの症状がみられることもあります。
というのも、犬は人に比べて空腹時の胃酸分泌量が少なく、最大胃酸分泌量は人の半分程度なのだとか。
食べ物が入ってきたときの胃酸の分泌速度は人の20倍も速いよ!
野生ではいつ食べ物にありつけるか分からない食生活だったからこそ、短期集中型の内臓なんだね。
低血糖
長時間の空腹は、低血糖のリスクを引き起こす可能性も。
とくに小型犬やシニア犬は空腹による血糖値の急激な低下により、ふらつきや嘔吐、失禁などの症状が現れることがあります。
放っておくと命にかかわる可能性もあるため、様子がおかしいと感じたときはすぐに動物病院を受診しましょう。
食べたくても食べられない状態かも…脱水のリスクも気になる
愛犬がなかなかフードを食べないときの対応として、
- 15~30分経っても食べなければ下げる
- 次の食事までおやつなどは一切与えない
- わがままをいってもダメだと態度で示す
などは、一般的なしつけの範疇ですし、長期的にみれば犬自身の健康にもつながります。
「もっとおいしいものが出てくるかも」「だから食べない」という姿勢は、犬にとっても幸せとはいえません。
どうしても好みに合わないわけではなく、ただフードの拒否がクセになっている場合も多いでしょう。
そんなときは飼い主さんが毅然とした態度で対応することで、お互いがストレスなく暮らせるようになります。
ただ、空腹嘔吐を繰り返した結果、胃やのどが荒れてしまって食べたくても食べられない…そんな状態になるのは避けたいもの。
嘔吐の頻度や量によっては水分補給が間に合わず、脱水状態になることもあります。
あまりに長い空腹は胃腸の運動低下やストレスにもつながるので、放っておくのはおすすめできません。
原因別!空腹嘔吐の対処法
留守番が長い・朝ごはんまでが長くて吐くなら食事時間や量の調整を
犬自身の問題ではない空腹嘔吐には、食事の時間や量の見直しが効果的です。
たとえば、朝にお腹が空き過ぎて吐くなら、夜の食事時間を遅くしたり、寝る前に少量の夜食を与える。
夜中にお腹が空き過ぎるなら食事量が少ない可能性があるので、たくさん食べられるダイエットフードや腹持ちのよい食物繊維豊富なフードに切り替えるのがおすすめです。
自動給餌機を使えば好きなタイミングでごはんがあげられるから、留守番中や夜中でも安心!
保冷機能のついたウェットフード用もあるから、いろいろ探してみてくださいね。
食べなくて吐くなら嗜好性が高いフードに変える
わがままや好みなどで食べない場合、1番手軽なのは嗜好性が高いフードに変えることです。
犬によってフードの好みはさまざまですが、一般的に肉原料が多いフードは犬の食いつきもいい傾向があります。
とはいえ、あまりにコロコロ変えるのもよくないですし、すでにいろいろ試したけど結局どれも食べなくなった…という人も多いかもしれません。
当サイトが独自に調べた結果、かなりの偏食でも食べてくれる市販フードは「K9ナチュラル」「ココグルメ」「ペトコトフーズ」の3強でした。
どれもけっして安くはありませんが、日々の食事のストレスがなくなるのは本当に魅力的です。
消化吸収もスムーズなので、適度なタイミングでお腹が空くのもメリットのひとつですよ。
あとは飼い主さん手作りのごはんも人気だね!
炊飯器で作ったトッピングをかけるだけでも見違えるように食べることがあるので、試してない方はぜひやってみてくださいね。
まとめ
犬が空腹で吐くことは、けっして珍しくはありません。
一方で、健康や精神的な安定を考えるのであれば、嘔吐はなるべくさせないようにしたいもの。
空腹嘔吐を繰り返した結果、胃腸の運動低下や脱水、消化器のトラブルを引き起こすこともあるので、早めの対処を心がけることが大切です。
偏食やわがままでなかなかご飯を食べないときは、抜群に嗜好性が良いフードに変えるか、手作りご飯(トッピング)がおすすめ!
愛犬の健康と長生きのためにも、ぜひ前向きに考えてみてくださいね♪
手作りごはんで愛犬をもっと幸せに
\ 主食にもトッピングにも /