実はうちの子、腎臓が悪くて…ドッグフードを選ぶ時のポイントって何だろう?
それは心配ですね…。愛犬が腎臓を患っている時は、押さえるべきポイントがあります。
難しい専門用語はできるだけ使わず、分かりやすく説明しますね。
具体的な商品も紹介するので愛犬の腎臓ケアに悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。
まずはフードを選ぶ時のポイントから
腎臓を保護するためには、食事内容の見直しが重要です。
ドッグフードを選ぶ際、腎臓が悪い犬で特に重視すべき点は以下の3点です。
選ぶ時のポイント
- リンが少ない
- タンパク質が少なめ
- ナトリウム(塩分)が少ない
このうち、特に重要なのは「リンの割合」です。
リンは骨や歯などの構成成分となる大切な栄養素ですが、腎臓が弱ると排出が難しくなります。
体内に溜まったリンは腎臓病を悪化させるため、はじめからリンが少ない食事をすることが重要です。
また、タンパク質は分解の過程で老廃物を多く生み出すので、高タンパク質食も避けるべきです。
とにかく腎臓に負担をかけないことが大切!
基本的に、腎臓病の犬には栄養価が高すぎないドッグフードを与えましょう。
具体的には、低リン・低タンパク質・低ナトリウムに調整されているかチェックしてください。
うーん、高すぎないって具体的にはどのくらい?
AAFCOの栄養基準では、これら成分の摂取目安は以下と定められています(健康な成犬)
AAFCOの栄養基準 | |||
---|---|---|---|
最低値 | 最高値 | ||
成長期 | 維持期 | ー | |
リン | 1.0% | 0.4% | 1.6% |
粗タンパク質 | 22.5% | 18.0% | ー |
ナトリウム | 0.6% | 0.6% | ー |
更に、市販されている一般のフードと療法食の比較もしてみましょう。
一般的なフード | 療法食 | ||
---|---|---|---|
A社 | B社 | ヒルズ「k/d」 | |
リン | 1.27% | 1.0% | 0.25 % |
タンパク質 | 28% | 28% | 15 % |
ナトリウム | 0.29% | 0.3% | 0.18 % |
リン・ナトリウム・タンパク質は、一般的に動物性原料が多いほど増える傾向にあります。
最近は高タンパクフードとして、タンパク質30%以上の商品もありますが、家庭犬には不向きです。
なので、腎臓が悪い犬には「タンパク質20%以下」のドッグフードを基準に選ぶとバランスが良いです。
症状がそこまで進んでいなければ25%くらいのものでもOKです!
腎臓病の犬には療法食を与えるべき?
療法食はかなり栄養値が低いよね。やっぱり腎臓病なら療法食をあげたほうがいいのかな?
療法食は長年の研究によって作られているフードなので、実績があります。ただ、基本的に獣医師の指示のもと利用する必要があるので、獣医師から療法食にするよう勧められたかどうかが重要ですね。
腎臓病になってしまったら、ち密な栄養管理が必要です。
腎臓を保護するには栄養配分が重要になるので、症状が進行している場合は療法食を勧められます。
ちなみに、動物病院で処方されるのはロイヤルカナンやヒルズといった海外メーカーのものがほとんどです。
これらのメーカーは学術研究による科学的な根拠を公表しており、高い実績を持っています。
腎臓の数値が悪い=療法食必須ではない
血液検査で腎臓の数値が高かった時も、療法食を与えたほうがいいのかな?
いえ、そうとはいいきれません。
血液検査の値だけが悪くて症状が出ていない、初期の状態では動物病院処方のフードでなくてもOK。
やけに栄養組成が高いものは避けたほうがいいですが、一般的なものであれば過度に避けなくて大丈夫です。
腎臓病の療法食について
そうなんだ…ちなみに腎臓の療法食にはどんなものがあるの?
腎臓病の療法食で有名なもの(ドライ)
- ヒルズ「k/d」腎臓ケア
- ロイヤルカナン「腎臓サポート」
- ドクターズケア「キドニーケア」
※ウェットも同シリーズにあります。
動物病院では、これらメーカーの担当者が定期的に勉強会を開いています。
一般の方向けの勉強会もまれに開かれているので、興味がある方は調べてみてはいかがでしょうか。
なお、新しい療法食に切り替える際は必ずかかりつけの獣医師に確認するようにしましょう。
動物病院処方の療法食を食べてくれない時
最近は獣医師の処方がなくても購入できる腎臓ケア食も販売されています。
- ハッピードッグ「サノN」
- フォルツァ10「リナールアクティブ」
- ナチュラルハーベスト「キドケア」
- アニモンダ「インテグラプロテクト」腎臓ケア
これらのフードは海外で普通に療法食として活用されているので、栄養組成の調整もバッチリ。
ロイヤルカナンやヒルズと違って日本に子会社はありませんが、安全性に関してはまったく問題ありません。
療法食のほとんどはドライとウェット、両方のパターンを販売しているので、使い勝手も良いです。
なお、当ブログで紹介している腎臓ケア食としては「美味かけ」と「キドニーレシピ」があります。
どちらも添加物不使用・栄養組成の調整済・犬の食いつきがかなり良いので、食が細くなった愛犬にぴったり。
愛犬の腎臓病が進行した時の食事
症状が進行すると食欲が低下することもあるよね…
腎機能が低下すると、血液中に毒素が溜まって気持ちが悪くなります。
常に気持ち悪い状態が続くと、食欲が低下してしまいますし、療法食自体味気なく感じます。
ご飯を食べられないと体力が落ちてしまうので、体に負担をかけないトッピングで対処しましょう。
犬が食欲不振におちいった時におすすめなトッピングはこれ!
リンの含有量が低い食材(:100gあたりのリンの含有量)
- りんご:12mg
- かぶ:28mg
- 白菜:33mg
- レタス:22mg
- トマト:26mg
- みかん:12mg
- キャベツ:27mg
- ダイコン:18mg
豆類や甘い野菜は、比較的リンが多めなので注意してくださいね。
なお、食べ物に含まれるリンは、茹でることでお湯に溶けだします。
そのため、腎臓病の犬に与える際はできるだけ食材を茹で、リンを除去すること。
野菜類はカットしてからお湯に入れると、カット面からリンが抜け出しやすくなりますよ。
参考>>「犬の手作りご飯にも野菜を!おすすめ野菜・調理法・食べない時の対処法」
参考>>「ドッグフードにトッピングをしてみよう!使える食材や注意点、時短アイデア」
腎臓病の犬に摂取させたいもの
普段の生活で、腎臓病の犬に摂取させたいものはありますか?
そうですね…余裕があれば、腎臓ケアに役立つものを摂取させましょう。
- 活性炭
- リン吸着薬
- 乳酸菌
- オメガ3脂肪酸
①:活性炭
腎臓でろ過しきれなかった老廃物を腸内で吸着し、便として排泄することで腎臓機能をサポートします。
②:リン吸着薬
一般的には、炭酸カルシウムが使われます。
体内のリンと胃の中で結合し、便に排泄することで腎機能を助けます。
③:乳酸菌
乳酸菌などの善玉菌を増やすことで、腎臓病の進行が抑えられるといわれています。
腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が優勢になると、多くの尿毒素が作られるため腎機能に負担がかかります。
善玉菌を増やし、腸内環境を健康に保つことで、腎臓への負担をかかりにくくできます。
>>「犬にも乳酸菌を!効果とメリット、おすすめの食べ物・サプリは?」
④:オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸には、血管拡張作用により血圧を下げ、腎臓の負担を減らす働きがあります。
また、腎臓の炎症を緩和する働きや、ビタミンE・Cと一緒に与えることで腎臓を保護する作用も注目されています。
>>「愛犬の手作りご飯に亜麻仁油をプラス!効果と選び方、おすすめの商品」
腎臓病の犬におすすめのサプリメント
療法食を食べてくれなかったり、療法食だけでは足りない栄養成分の補完には、サプリメントを利用しましょう。
老廃物の排泄を目的としたサプリメントもあるので、療法食と併せて使うこともできます。
ここでは、腎臓病におすすめのサプリメントをまとめてみました。
- 共立製薬 ネフガード
- バイエル カリナールコンボ
- フィトケアα-CD
- レンジアレン
- 犬用・毎日腎活
粒・顆粒タイプ:共立製薬 ネフガード
粉タイプ:バイエル カリナールコンボ
カリナール1、カリナール2もあります。
液体タイプ:フィトケアα-CD
粉タイプ:レンジアレン
チキン味のタブレット:犬用・毎日腎活
腎臓病の犬におやつはあげてもいい?
おやつは犬の健康に不要なものなので、基本はあげないほうが良いです。
せっかく療法食で腎臓の負担を減らせているのに、おやつで栄養バランスが乱れては大変。
腎臓病を発症した後は、できる限りおやつを与えずに生活させるのが望ましいでしょう。
そうはいっても、おやつの制限で愛犬にストレスがかかるのは心配ですよね。
腎臓病は一生付き合っていく病気ですし、毎日楽しく過ごせるようにしてあげたいもの。
どうしてもおやつをあげたい時は、リン・ナトリウム・タンパク質が低いものを選びましょう。
最近は腎臓病の犬用に作られたおやつもあるので、良さそうなものを探してみてくださいね。
>>関連記事「腎臓病の犬にあげられるおやつ9選!毎日をもっと楽しく」
腎臓病の犬のドッグフードまとめ
残念ながら、犬の腎臓病は完治が難しい病気です。
発症した後は一生付き合っていく必要があるからこそ、腎臓ケアを重視することは大切。
腎機能を上手にサポートできれば、寿命を全うできるケースもあります。
愛犬が毎日楽しく過ごせるよう、まずは最適なドッグフード選びから取り掛かってみてくださいね。